キクイモを食す
キクイモは夏の酷暑に負けることなくよく育ち、食せる植物。
食する部位は土の中で肥大した塊茎。
植えた時は小さな袋2袋(200g)ほどの塊茎だったものが1年でずいぶんたくさんの塊茎となって豊作だった。土を掘るとゴロゴロ出てきて、大きさも申し分なく、直売所で販売されているものと遜色ないものだった。
たくさんあるので保管しようとていねいに水洗いして紙袋に詰め、倉庫の暗影に置いておいた。いつでもきれいな塊茎を取り出せると思っていたけど、数日後にはふにゃふにゃと硬さがなくなり次第に青カビが生えて食せる状態でなくなってしまった。
常温では数日で柔らかくなってしまうので、冷蔵庫での保管が必要らしい。
一方、そのまま地中に埋めておいたものの多くは翌年春には無事に新芽を出している。
食べたい時、その都度地中から掘って調理した方が新鮮さが保たれるということを知った。
4月に入ってキクイモを食べてみたいという人に塊茎を分けてあげた。
新芽が出たばかりなのでまだ塊茎もしっかりしている。
生の塊茎を薄切りにして酢漬けにする人が多いが私のおすすめは肉どうふの具材として一緒に煮込むこと。食感がホロリとして美味しい。イヌリンを含むので甘さがあり砂糖を入れずに調理できるのも気に入っている。デンプン質がなく腸で吸収されるので血糖値の高い人に良いらしい。
薬草辞典でキクイモは太平洋戦争中の貴重な糖分だったという記述を見つけてから、いつかやってみたいと思うことがあった。
それは糖蜜作り。
糖蜜の作り方は書かれてなかったので甜菜糖蜜の作り方をネットで参照してアレンジしてみた。
作り方
1.塊茎をザッと一口大に切り分けてからチョッパーで軽く刻み鍋に入れ、ヒタヒタの水を注ぐ。65度から75度の間で加熱する。
2.キクイモ自体の白さが無くなり茶色になってきたらザルにあげて水分を絞り、水分のみ鍋に戻して強火で加熱する。ジャムを煮詰めるように仕上げたら完成。
味見をしてみるとキクイモらしい味わいがする。
特に甘さの中にコクが増し、余韻が口の中に残るので調味料として使えるかもしれない。煮詰めるとかなり分量が減るので貴重さが増した。
加熱し終わったみじん切りの大量のキクイモは畑にすき込むつもり。
キクイモの調理方法をあれこれ考えているうちにちょっと手を加えてみたくなった。
コロッケを作ってみた。
糖蜜を作った後のキクイモなのでおそらくコクが抜けているだろうと思ってキクイモの他に材料を追加した。
・キクイモ 300g
・牛豚挽肉 50g
・にんじんのすりおろし少々
・ネギのみじん切り少々
・溶き卵 1個分
・小麦粉 30g
・オートミール 15g
・衣用パン粉
・塩、こしょう 少々
出来立てをウスターソースをかけて試食してみた。キクイモのみじん切りがナッツのような風味を醸し出し美味しい。
始め、糖蜜は植物栽培用のボカシ作りに使ってみようと思っていた。ボカシにはスターターとして微生物を混ぜるが、そのエサとなるものは砂糖なので糖蜜はその代用になるかなと思っている。
チューリップ開花
春!心待ちにしていたチューリップが花開いた。
園芸界ではチューリップは定番の花。原種から品種改良が進んだものまで様々ある。
いつもは富山県産の球根をお取り寄せしていたがある雑誌情報で富山県だけでなく新潟県でも栽培が盛んとのことを知り、今回は新潟県産を取り寄せることにしてみた。
ホームページを見てみると、強風に強いものや原種など特色ある球根があり、魅力的な球根たちだった。早速注文して到着まで楽しみに待つことにした。
植え込みに適した期間を待って手元に届くまで時間差があるので改めて発送のお知らせをするとのことだったものの、そのお知らせが無くて突然到着したことは戸惑いのたねとなった。やはり一言、メッセージが欲しいな。
チューリップは富山県で栽培されていることはよく知られている。
特産として有名になるまでに人々の努力と数々の困難を乗り越えて今がある農業歴史、地域特産としてのPRが上手に行われている成果だと思う。
わかりやすく丁寧なホームページの作り、定期メールマガジンの発信、その中では球根の育て方レクチャーや楽しみ方の提案など、読み手が購買に至るまでの情報発信を欠かさず行っておられる。私たちは楽しみながらこれらの情報を得て相手を知り、信頼を深める。
新潟県のチューリップはとても魅力的なのに、情報発信があまりなくて残念だった。
園芸学校に通っていた頃に短期アルバイトの募集があった。
それは銀座の歩行者天国の道路をチューリップの花びらで埋め尽くし、絵を描くイベントに参加するというものだった。
球根自体を大きくするためには、蕾を付けた頃から開花する間に花首を取ってしまい、栄養を球根の方に充実させて太らせる。生産現場では不要になった花びらたちが大量にあるためこれらを集めて華やかな街、銀座の通りを飾り立てようというイベントだった。当日はお天気も良くて道ゆく来場者も多く、実に盛大で華やかなイベントで楽しかった。
ターシャデューダーの本でチューリップは植え込んで開花を楽しんだら毎年球根を買い替えると読んだ気がする。
掘り上げた球根は次の年は咲かないのかなと思ったので開花はあまり期待していなかった。
球根の大きさもバラバラだし、開花が期待できそうな大きな球根は植木鉢に植えることにして小さなものは球根を太らせる目的で畑にざっと植え込んでみることにした。
そして今年の春・・・!!。
小学校でよく見かける単色のシンプルな形で数が多く見応えがあり大変美しく、背の高さ、花のサイズもバラバラであるのが自然なカタチで心地よく、私にとっては良い結果だった。
きっと球根の大きさに合わせた状態なのだろう。
前年度の球根を植えて分かったことは蕾をつけないわけではなく、揃ったものにならないということだった。
良い経験をしたなと思う。
来年も楽しみにしたい。
3月は芽出しの季節
3月になると一日の気温の変化が大きくなる。
明け方と夕方は気温がグッと寒くなり、日中は額と背中が汗ばむ程になる。
庭ではヘレボルスの花が見頃だ。
秋に植えた球根の芽吹きも始まって楽しみな季節になってきた。
周囲では耕す予定のない農地がまた一つ増えた。
付近では持ち主が定年退職後、趣味の農場を続けていたもののご本人が亡くなるとそのご家族は手入れをしなくなり、畑はあっという間に雑草に覆い尽くされる。
私は畑に出る度に農地としての維持管理はしっかり続けたいと思って作業しているが夏の暑さに身体がバテて思うように管理し切れないことがある。
どんなイメージで畑を形作っていくかよく考えていきたい。
1、植物を植える場所と歩く通路の明確化。
2、夏場に備えて水分維持する土壌形状を作る。
3、週一回の草刈り実行。
。。。どれだけ出来るか。。。
ヒヤシンス開花までの過程
暖かい部屋の中で楽しめるものとして毎年、ヒヤシンスの球根を水耕栽培で育てているが今回はすでに花芽が出ている球根を園芸店で買い求めてみた。
花芽がすでにある球根であれば、生育途中の青かびの心配もあまりしないでいられるし開花までの期間が短いのでその間の手間を省くことができて効率的だなと思っていた。
実際、青かびの発生もなく開花までの日数は10日間ほどで済んでいる。
球根から育てるにはあらかじめ寒さにあてることや根っこを切ることなく伸ばすことが必要だ。根が伸びるまでに青かびが発生しないように気を遣う。
3色違いで揃えた球根。実際に開花までの過程が短く、結果が早かったので予想通りの結果だった。
同時になんだか物足りなさを感じている自分がいた。
私は植物に対して何を求めているのか、何を感じようとしているのだろう。
生花を買い求めることに対しては小売店でのやり取りを介することで人と人の繋がりを強く感じられることが魅力だ。
球根を買い求めることに対しては自分が育てる過程を楽しみたい、自分を強く感じたいという思いがある。
種から植物を育てる思いも同じだ。
植物が開花するまでの生育過程は何ヶ月も要し、天気や気温、その他思わぬアクシデントなどで残念な結果がつきまとうから100%成功するとは限らないしガッカリすることも多い。そんな中で開花までこぎつけたものに対してはそれまでの過程での充実感がある。
私はあれこれ労する時間を楽しみたいのだなと思う。
畑仕事で思うこと
ランナーから育てたイチゴがすくすく育っている。昨年から苗を増やして特に問題もなく今まで育てることができたので育てやすい部類に入るのだろう。
イチゴは寒さに強いので露地の畑に植えたものでも力強く根を張っているので頼もしく感じられる。
とりあえず雑草防除と急激な地温上昇を抑えるために白マルチを張った。
イチゴと言えば白マルチが定番。効果の程は育てる過程で知ることができるだろう。
カラスやハクビシンなどの害があると思うので対策はどのようにするか、思案中。
近年は天候の悪化を考慮に入れて畑仕事をしている。
例えば強風に対して頑丈なものを作るより簡単にその場で崩れるような構造のものを作る。
頑丈な構造で作られたものは強風に煽られた時に原型を留めたまま大きな破壊力を伴って衝突着地する。壊れやすく作ることでそういった事を少しでも避けたい。
また、形あるものは出来るだけ自然素材を選ぶことで数年後の自然分解力に委ねたい。
木材で簡単なプランターを作ってみると、今度作る時はああしてみよう、こうしてみようとアイデアが生まれてきた。また、釘をたくさん使わなくとも物理的強度はデザイン次第で補えるかもしれないと思えた。
工夫が楽しい。
植物は飾り場所を選ばず
先日、春一番が吹いて昼間の気温は15度くらいの日が続く。
動いていると汗ばんで薄着になるが夕暮れになるとだんだん身体が冷えてくる。このところ雨が少なくて乾いた晴れの日が続いているから畑作業がはかどる。
植物にとって春から秋にかけては繁殖の時期。その頃の畑の管理業務は休みが無いに等しいと言っても良いくらい。植物が地中で芽出しの頃合いを見計らっている今のうちに畑の計画やネット張り、備品の整理など色々やってしまわないといけない。後伸ばしにしていると片付かないまま一夏放置してしまう事になる。
ほっと一息いれる部屋で花を見ると春が待ち通しくなる。癒される。切り花を購入して飾るのは部屋に居ながら一足早い春を感じることができるから。
浴室にランを飾ってみた。
入浴中に花を見あげると熱帯地域の国が思い起こされその国の空気感を感じる。
この花が私の手元に届くまでにどれだけの人の手が介されてきたことだろう。
植物は歩かないけど色や形、蜜や果実で動物や昆虫を動かせて繁殖をする。
醸し出す芳香や美しさで人を動かす。
花を楽しむ日々
屋外では毎日朝晩の寒さが厳しいが、風のない日中の陽だまりは冷たい空気が心地良い。
時が止まっているように見える畑の様子は寂しいが、サクラソウは早くも花を咲かせている。
昨年は11月頃の気温が高かったせいか、その年の春に咲いたサクラソウの苗からこぼれた種が年内に芽を出していた。その頃は可愛い小さな苗だったものが今では大きく育ち、目を楽しませてくれている。
室内では水の中で咲く花を楽しんでいる。とは言っても工芸茶を。
中国で作られた硬い3cm程のボール状に乾燥されたジャスミン茶で一個300円位のもの。
お祝いの席のお茶として特別な日に飲むもののようで香りが特に良い。熱いお湯を注ぐと倍以上に大きくなり何煎もお茶を楽しむことができる。
冬はじんわりと自分に向き合うような時間が多いせいかいつもは慌ただしくせっついてやるような事にあえて時間をかけてやってみようと思える。春本番までの楽しみ。